富弘美術館 of グロリア・アーツ株式会社 空間創造事業部

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富弘美術館は、山間の群馬県勢多郡東村に静かにたたずんでいる。

年間約40万人が訪れるこの美術館は、建て替えにあたって国際設計コンペという道を選んだ。
そして選ばれたのは、52m角の正方形のなかに33個の円筒形が互いに支え合いながら建つ
というこれまでにない斬新な建築プランだった。

■ 内部サイン計画 ■

・配置・
円形平面の集合という設計には、「来館者が迷うのでは?」と危惧する声も聞こえた。

富弘美術館は、ツアー客など短い鑑賞時間の人も多く訪れるのだが、ここが星野富弘氏の詩画に触れ
「やさしさ」に出会う場であるためには、<迷う>というストレスを極力軽減するサイン計画が求められた。

 計画に着手し始めた頃は、円滑な案内が困難に思えたが、利用者動線を整理することで
非常にシンプルな考えの基にサインを配置できることに気が付いた。
それは、<迷う>可能性があるのは、隣の部屋との出入口を複数持つ部屋だということだ。
当たり前のことだが、出入口が一つならば誰も迷わないのである。

そこで、出入口を複数持つ部屋のみにサインを配置していった。
その結果、作品鑑賞を妨げることなく、必要な情報を提供することのできるサイン計画となった。

・デザイン・
一つの正方形と、33個の円からできる建築を目にしたとき、サインの形状は円か正方形しかありえなかった。
大きい円が小さい円を生みだし、小さい円が大きい円を支える。それらが正方形のなかに見事に納まっている。

そこで、室名は大きい円のベースに入れ、数字などのサブ情報は小さい円のなかに入れて大きい円の右下につけることにした。
また、ピクトの記号の角はすべておとして丸くし、基本カラーもコントラストをやや弱めた白とグレーとした。

星野富弘氏の作品、それを内包する正方形と円の建築を意識した、目にやさしいサインである。


■ 外部サイン計画 ■

林道を抜けると劇的に視界がひらけ、原っぱが広がり、豊かな水を湛える草木湖をバックに高さ3.5mの富弘美術館が見えてくる。
そのような景観を崩さない、悠々とした存在の自立サインをと考えた。

メインカラーについては東村の風土色調査で抽出された「風土色パレット(色彩郡)」のなかから選定した。
その結果、緑豊かな周辺環境にこびない、しかし美しく調和する彩色を施すことができた。

建築に直接取り付ける壁付けサインについては、モノトーンでまとめた。
33個の円のすべてが異なる仕上げ、カラーで作り上げられた建築に、有彩色は不要と思われたからだった。

また、大自然のなかに存在する真っ白い外壁には、静寂、潔さを感じた。
そこで、目にやさしい内部サインとは対照的に、コントラストのしっかりとした、明快なサインを設置した。

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